鳥取県米子市で若年性認知症と診断された荒川泰子さんが行方不明となり、まもなく2年という時間が過ぎようとしています。
突然の失踪から続く不安と後悔。
そして「同じ思いをする家族を増やしたくない」と新たな行動を始めた夫・荒川勉さんの思い。
この記事では、行方不明当時の状況、これまでの目撃情報、そして家族が続ける必死の呼びかけを丁寧にまとめます。
荒川泰子さんの基本情報

- 名前
荒川 泰子(あらかわ やすこ) - 年齢
行方不明当時 59歳 - 身長
155cm - 特徴
若年性・意味性認知症を患っており、質問への受け答えが難しい状態
行方不明になった日時
2023年(令和5年)8月8日の早朝
米子市内の自宅から突然姿が見えなくなった
夫の勉さんが目を覚ますと、泰子さんの靴が消えていました。
その瞬間、胸をかきむしられるような不安が広がったといいます。
行方不明当日の状況
早朝にひとりで外へ
国道9号を安来方面へ歩く姿
行方不明当日の8月8日の早朝。
防犯カメラには、米子市から安来市方面へ歩いていく女性の姿が映っており、
特徴から勉さんは「間違いなく妻だ」と確信してきました。
その後、
・8月11日には、松江市内の国道9号の車道付近を似た人物が歩いていた
・車通りが多い道路でありながら、目撃が非常に少ない
という不自然な点も多く、家族は今も疑問を抱えたままです。
勉さんは猛暑の中、国道9号を20日間休まず歩き続け、島根県の各警察にも自ら足を運びました。
「1分1秒を争うのに、なにも進まない。
それでも動き続けるしかない」
その必死の思いが、今もSNSやブログでの情報発信につながっています。
意味性認知症とはなにか
「物の意味」がわからなくなる疾患
泰子さんが診断されたのは4年前。
まだ57歳の若さでした。
意味性認知症は、言葉・物・場所の「意味」がわからなくなるタイプの認知症で、
徘徊や迷子になりやすい特徴があり、早期の見守り体制がとても重要とされています。
夫の勉さんはこう語ります。
「会の存在は知っていたのに、もっと早く妻を相談に連れて行けばよかった。
私が無知だったことが、今の状況につながってしまった」
後悔の言葉が胸に刺さります。
これまでの主な目撃情報
・2023年8月8日
米子市から安来市方面の国道9号線沿いを歩く姿
・2023年8月11日
松江市内の国道9号を似た特徴の女性が歩いていた
ただし確定情報ではなく、手掛かりは極めて少ないままです。
勉さんが始めた新たな活動

「認知症 行方不明者家族 山陰の会」設立
2024年7月4日。
オンライン会議で、勉さんは新しい一歩を踏み出します。
「認知症 行方不明者家族 山陰の会」の立ち上げです。
目的は
・行方不明を防ぎたい家族を支援する
・相談を受け、地域のつながりを広げる
・認知症行方不明者をゼロに近づける
というもの。
沖縄や長崎にはすでに行方不明者の支援会があり、山陰地域での設立は今回が初めてです。
この会の活動は、泰子さんを探す手段であり、
また「同じ悲しみを繰り返したくない」という勉さんの切実な思いから始まりました。
鳥取県も支援体制を強化
若年性認知症にも対象拡大
泰子さんが見つからない状況を受け、鳥取県は2023年秋から支援体制を拡大しました。
・若年性認知症(65歳未満)も情報共有の対象に
・相談ダイヤルの設置
・行方不明者情報の発信体制の見直し
これまで60代未満の行方不明者は「共有対象外」になることも多く、
情報の遅れが課題となっていました。
泰子さんのケースが、制度改善の後押しとなっています。
勉さんの願い
「妻よ、どうか無事で」
勉さんは今もSNSで呼びかけを続けています。
「妻よ、悲しみは心の奥に沈み、涙があふれて止まらない」
「私が寝坊しなければ…」
何度も繰り返し自分を責めてきたといいます。
しかし2人の息子さんは
「お父さんのせいじゃない」
と決して責めることはなかったそうです。
荒川泰子さんを見かけたら

米子警察署
0859-33-0110
またはポスター記載のSNSアカウントまで
「荒川泰子さんですか?」
「ご家族が探していますよ」
と優しく声をかけてほしいとのことです。
最後に
認知症による行方不明は、どの家庭にも起こりうる問題です。
しかし、家族だけで抱え込むにはあまりにも負担が大きく、
地域の支援や早めの相談が何より大切だと、勉さんの歩みから強く感じます。
荒川泰子さんが一日も早く無事で見つかることを願い、
行方不明者を一人でも減らす取り組みが、山陰から広がっていくことを願います。